九州動物学院
 

とある大学で実際に行なわれた実験の結果に、非常に興味深いものがあったので紹介します。

 100人の学生をA班とB班に分けて、同じ特別講師に同じ演題で講義を依頼しました。その際、両班とも事前に講師の先生のプロフィールを紹介したので す。A班の学生には「非常に高名な素晴らしい先生である」という前ふりを、B班にはその逆、「悪名高き先生である」という情報を流したのです。
講義が終わり、全学生にアンケート調査を実施。その結果が非常に興味深いものだったのです。なんと、同じ講師に同じテーマで講演して頂いたはずなのに、A 班の学生の評価は95点で、B班に至っては65点。事前に仕入れた前情報によって、人はこんなにも如実に反応するのです。「先入観」という色眼鏡の影響は すごいものでしょう。

 前述の実験結果にもう一つおもしろいものがあって、A班の「いい情報」の伝達深度は約30%だったそうです。対して「悪い情報」の方は100%の伝達力で、さらに怪情報までくっついて加速度を増したようです。
スキャンダラスなウワサは非常に興味を惹きます。ですが、真実には程遠いものがほとんどです。動物業界によくある噂話の一つに、「あの人は犬の扱い方がひ どいよ」というのがあります。悪質なものになると「動物虐待をしているらしい」とか。これはすごいスピードで広がっていきますが、事実無根の場合は、大変 な損害が発生する・・実害を伴う非常に悪い噂の部類です。
 
 動物病院はこうした情報が集中する場所でもあります。患者さんからもよく「噂話」を聞かされますが、私たちプロは公平中立な立場であらねばなりません。 噂話の発信源をいさめるのでもなければ、その話に乗るなんてことはもっての外。自身の目や耳で確認した事以外は「信じない」くらいの気持ちが必要です。
 確かに「うわさ」は、私たちの情報源のひとつです。ただし、うわさのウズに巻き込まれることなく、真実を見極める目と耳があってこそです。噂の内容によっては、その人(周囲)の未来さえ変えかねない悪質なものもあるのだと言う事を肝に銘じておいて下さい。

 私たちの傍らに居る動物たちは、決して噂話などしません。元々言語を持たない生き物だからではありますが、自分たちの感覚(感性)を優先する本能が備わっているからです。これは非力な彼らが命を守る大切な能力です。
噂話は自分の感性で情報収集するチャンスを奪います。特にマイナスの情報は、自身にとってとてつもないマイナス要因です。未確認の情報にマインドコントロールされることなく、「真実を見極める眼を持つこと」の大切さを思い知って下さい。
一つのことには必ず表裏があります。あらゆる方向からそのものを見つめ、判断できる「心眼」をもったプロを目指して下さい。