九州動物学院
 

長い夏休みが終わりました。1年生は初めてインターンシップにも行きました。大半の人が「大変だ」と思ったことでしょうが、現場での働き方や一日の仕事についてなど、基本は理解してもらえたかと思います。

 動物看護師というのは、非常に難しい仕事だと思います。技術や知識といった能力もさることながら、人間的能力も同じくらい要求される、究極の専門職と言 えるでしょう。これは1~2年勉強したからといってできるわけじゃない。現場で積み重ねていく経験が大きくモノを言う世界です。今まさにそれを目指す皆さ んには、「目標とする看護師像」はありますか?

 動物病院を受診する患者さんのほとんどが、診察の中で気になったことは聞けないままでいます。診察後、それを解決するためにつかまえるのは、実は獣医師 ではなく看護師なんです。例えば診察の結果、40度熱があったとします。治療が済み、安心した飼い主さんは、「犬の平熱は何度ですか?」と聞きたくなる。 また、予防注射にきた飼い主さん。注射が終わり、「今日一日は安静にしておいて下さい」と言えば、待合室で「散歩は連れて行ってもいいですか?」と尋ねた くなる。獣医師と患者さんの間には、どれだけ信頼関係があろうとも壁があるのです。その壁の間に立ち、橋渡しをするのが動物看護師の役目です。このコミュ ニケーションがうまくできるAHTがいる動物病院は、対外的に評価が高い。動物病院にとって重要なキーマンと言えるでしょう。

 そのための経験を積み、学ぶのが学院での2年間です。看護師としての知識や技術を身につけるのと同時に、人を見る目・動物を見る眼・飼い主さんの心情を理解できる感性を養う大切な時間です。
 一人の獣医師ができる範囲は限られています。100頭の犬たちを前にして、全部を見切るのは不可能です。だから獣医師の「目」となり、細かな部分に気づ いてほしい。診察室を後にした飼い主さんの、診察室では聞けなかった言葉を「耳」となって聞き取り、動物たちの背後にいる飼い主さんの心情を感じ取れる 「センサー」になってほしい。それが動物病院でのチーム医療の理想的な形です。

 とは言うものの、そうそう簡単に身につく能力ではありません。獣医師も飼い主さんも十人十色・・いろんなタイプがおりますので、一人一人取扱いが違うの は当然です。こうした状況でそれぞれとコミュニケーションを図るための突破口は、実は挨拶だったりするのです。挨拶は「相手を認めること」。相手の存在を 理解することから、対話は始まります。「言わなかった本当の言葉」を聞き取るには、こうしたコミュニケーションが第一歩です。これは教科書には書かれてい ない、人付き合いの極意。どうですか?動物看護師って本当に奥が深いでしょ?毎日の経験からしかこうした能力は培われません。挨拶や日々の会話、勉強や実 習・・毎日の過ごし方で身につき方が変わってきます。理想の看護師像目指して、修行の日々は続くのです。