九州動物学院
 

日本の医学は技術・器具・機材など、全てにおいて世界のトップレベルです。海外で活躍するトップクラスの医療チームに、日本人医師が存在していることも決して珍しくはないことです。こうしてみても、日本人は大変有能な人種で、世界に通用する能力を十分に持っています。

 よくテレビの特別番組でも紹介されていますが、日本の医療界には「ゴッドハンド=神の手」と称されるような腕を持つ名医が何人もいます。成功率の低い難 手術を、まるで神業のごとく成功させ、一度は死を覚悟せざるを得なかったような患者さんを、社会復帰までさせてしまう・・まさに名医です。

 では「名医」って何でしょう。何を基準にそう称されるのでしょうか。少し前に「白い巨塔」というドラマがありましたが、これはその「名医」を題材にした ドラマです。同期のドクターが、一人は内科、もう一人は外科で、それぞれが目指す医師へと成長していく過程を追ったものです。外科医を志した財前医師は、 その手腕を発揮して、それこそ難しい症例を重ね、次第に名声を高めていき、大学病院の出世街道をひた走ります。かたや内科医の里見医師は、ターミナルケア に尽力し、患者の命と真摯に向き合う医療を志したのです。医療技術は常に最新で、高度であるべきだと思います。ただし、医術ともなれば技術者であるだけで はいけない。命を救い、患者はもちろんその家族(周囲)が健康な毎日を取り戻せるまでを導く責任もあるのです。

 例えば非常に高齢なペットが病気になった場合もそうです。腫瘍を発見した場合、通常であれば切除手術を考えます。もちろん獣医師としては、医療的関心か ら「立ち向かってみたい」という思いはあります。しかし、このペットにとってはどうでしょう。飼い主さんにとっては?ペットにしてみれば、老齢であるがゆ えに危険は高まりますし、心身への負担も大きい。飼い主さんはそんな状況を心から納得しているんだろうか・・などの見地に立つ必要があります。このように 常にトータル的評価と決断ができてこそ名医なのです。日本人はこうした気遣いができる人種であり、感情を押しはさんだ医療が提供できる感性を持っていま す。これが医療技術もさることながら、世界中から高い評価を受けるゆえんではないでしょうか。

 もう一つ忘れてはならないのが、「パラメディカル=チーム医療」としての医師の存在です。名医の傍らには常に名スタッフが存在します。獣医療もそう。獣 医師と看護師の連携ができてこそ、高度な獣医療が提供できるのです。チーム一人一人の力を最大限に生かし、発揮させる力量も名医としての重要な評価基準で す。

 医療は常に人と命が介在する複雑な世界です。患者(ペット)にとって、何が一番大切かは、その医師の感覚によって差異はありますが、根底にあるヒューマニズムは不変であってほしいと思います。