九州動物学院
 

昨今、動物たちを取巻く環境は大きく変わりました。特に、ペットたちの環境急変には著しいものがあります。今から14~15年前まで、「犬は外で飼うも の」は定説でした。しかし、今では室内飼育など当たり前。どころか今は、これまでのタブーと言われていた飲食店に動物を同伴させるドッグカフェや、広い敷 地内を自由に走り回れる施設がウリのドッグラン。また、最近のペットショップのまばゆさは人間のショップをもしのぐほどの勢いです。このような動物業界の 発展が、ペットを含む動物たちの社会的地位をぐんと向上させたのは事実でしょう。

 こうした現実を背景に、私たちプロがしなければならないのは、実質的な動物業界の質の向上です。
今や獣医療はその細部に至るまで、人医療と何ら変わらないところまで進歩を遂げてきましたが、動物病院の看護師はその昔、ただの「お手伝いさん」でした。 獣医師のお母さんや奥さんがその役割を担い、ぎこちない手つきで診療に携わるのです。もちろん制服などありません。割烹着やエプロン姿で診察室に存在する ことは、さして珍しい光景ではありませんでした。

 しかし時は流れ、ペットの社会的地位向上と共に、動物病院内でも当然意識革命は起こりました。獣医師は白衣を着用し、傍らの看護師はナースウエアに身を 包む。これは決して「形から入っている」などの表面的な行為ではありません。私たちが意識的に認識を改めることで、それは自然と飼主さんの意識改革にもつ ながっていくのです。ひいては、ペットのレベル向上にもつながる。本当の意味でペットの価値を高めるには、制服の着用などのアイテムで院内レベルを上げ、 最新機器で精密検査をするなどの治療行為が、ペットの命の尊厳を守る。結果、飼主さんはもっともっと、その小さな、愛すべき命を慈しむようになるのです。

 制服以外にも意識改革のアイテムはあります。例えば、お誕生日カード。「○△タロウ様へ」などと宛名書きされたカードが、我が家のペットに届くのです。 または、予防接種やノミ・ダニ予防の案内がペット宛に郵送されてくる。「きちんと健康管理までしてくれているんだな」と思えば、うれしくない飼主さんはい ません。
 旅行などで留守をする場合、ペットホテルに預ければ、「同意書」を求められる。そういったものに不慣れな時は、「病院を守るためにこんなものを書かせ て」と不快感を示していた飼主さんも、当たり前になった今では、「こうしてきちんと命を守って下さっているんだ」と安心感を抱かれる。こうしたさまざまな 対応の全てが、動物と人間を同じ地位まで高めたのです。 

 これからますます密接な関係を深めていくであろう動物たち。その小さな命を守るために私たちはどうすればいいのか。病気予防や健康管理。そして食餌の改 善、はたまた飼育環境の整備など、動物たちのQ・O・L(クオリティ・オブ・ライフ)を高めていくことも、最重要アイテムとして追求していかねばならない のです。

2008年 10月 20日 月曜日 講話より