九州動物学院
 

シェルターのことは、もうよくご存知ですね。オーストラリアの研修プログラムでも見学に行きましたので、どんな施設なのかは勉強してきたと思います。
 シェルターとは言わば、「一時避難所(預かり所)」です。収容しても、終(つい)の住まいと言うわけではありません。一定期間の収容生活の中で、治療やしつけなどを施し、また社会復帰できるよう支援するのが目的です。
私たちの動物病院で行なっている里親活動もそうです。何らかの事情で飼主を探さなければならない動物たちを、1ヶ月という期限付きでお預かりし、里親探し をします。ところがその期間を過ぎたら、また依頼主にお返しします。遺棄された動物を拾得することだけが責任ではないとわかって頂くためです。例え拾った 動物であったとしても、一度受け止めた命には責任が発生するのだと理解を求めていくことも、この里親活動含むシェルターの社会的責任なのです。

 皆さんは、学院で学び、将来的には動物関連のお仕事に就くでしょう。一つところではないにしても、生涯にわたって継続してほしいと思っています。
 その時間の中には、数限りなく動物たちとの出会いがあります。ただでさえ動物が好きな皆さんです。出会う動物たちがかわいければ、「うちの子にしたい」 と思うでしょう。でも待って。プロである皆さんが出会う運命の動物たちは、そんな行き場のある動物たちではありません。不細工だったり、障害があったり、 奇形だったりと、一般飼主さんがとうてい面倒をみることが不可能な動物たちこそが、あなた方のパートナーであるべきなのです。

 今は猫たちの発情時期です。この時期妊娠した猫たちは、1月に出産ラッシュとなり、離乳期を経た2月頃、たくさんの拾われた仔猫たちが動物病院に持ち込まれます。先ほどお話した里親希望の猫たちです。
 昨日は長毛の仔猫を拾ったという飼主さんから、里親募集でお預かりしました。スタッフはあまりのかわいさに、思わず「飼いたい」と口走っていました。で すが、私たちは飼育者ではなく、飼育者をサポートする側なのです。そのかわいい仔猫に、終生かわいがって下さる飼主さんを見つけてあげて、予防接種から健 康管理、栄養相談まで、きちんと傍らでアドバイスしてあげることが使命なのです。
 例えば、もらわれていった翌日電話をして様子を伺う。心配なことはないかと尋ねる。1ヵ月後にまた様子を伺う連絡をする。時には情報提供のためにDMを お送りするなど、その時だけのアドバイスに終わらず、ずっとペットとのライフプランナーとして存在し続けるのです。運命の出会いを提供したら、行く末を見 守り続けること。それがプロの仕事なのだと、深く理解してほしいのです。

 たくさん出会う動物たちの中から、「プロとしての運命の出会い」を迎えたなら、その時こそ「この子には私しかいないんだ」と自覚を持って、生涯を共にしてあげて下さい。一時避難所ではなく、終の住まいとして・・そして終生のパートナーとして。