九州動物学院
 

仕事をするということを、皆さんはどうお考えですか?往々にして「自分のため」と思っている人が多いと思います。確かにそうした一面もあるでしょうが、 この視点ばかりで仕事を考えると、お給料や休日といった待遇面ばかりを追い求めるようになります。そう、これは、「自分を中心」にした選択基準です。「何 を基準に仕事を求めるのか」で、その選択は大きく変わってきます。

 わが社の社訓に、「利他の精神」という一文があります。(利他とは:他人に利益となるように図ること。自分のことよりも他人の幸福を願うこと)この気持 ちは何も特別なことではありません。例えば、好きな人のために何でもしてあげたいとか、役に立ちたいと思うでしょう?例えば、きれいな景色を見た時、「あ の人に見せてあげたい」と思って、思わず写真を撮った経験はありませんか?自分だけの感動ではなく、大切な人と分かち合いたいと思うのは、とても素直な感 情ですね。そう、人間には本来、「他人の喜ぶ顔がみたい」という本能が備わっていますので、これはごく自然な感情なのです。
しかもこれは人間だけに備わったものではなく、動物もそうです。肉食獣も獲物を一人で食べたりはしません。必ず家族の元に持ち帰り分かち合う。自己利益だけでなく、他者の利益さえも自身の喜びとして感じられることは、繰り返しますがごく自然なことなのです。

 私のような仕事をしていますと、「人のため、動物のため」という気持ちは、日々当たり前に実感しています。こうした毎日を過ごしていますと、習慣として「今飼主さんが何を考え、何を求めているのか」を考え、行動するようになります。
 例えば、お年を召した飼主さんがケージを重そうに抱えていれば、「お持ちしましょうか?」と声をかける。手押し車を押して病院から帰ろうとする患者さん を見たら、「お宅までお送りしましょうか?」とお勧めしてみる。人のことを考え、思いやる心は、日々のこうした繰り返しの中でつちかわれてくるものなので す。

 こうした気持ちで仕事に向かいますと、今まで見えなかったものが見えるようになります。「このお客様の気持ちをつかみたい」と思えば、その方の心に添え るよう、一生懸命配慮しようと心がけるはずです。それも求められてからするのではなく、気づいてあげること。これが何より大切です。
 このサービス精神を身につけるには、まず身近な人からやってみること。家族や友人などに思いやりの心を向けてみる。それが自然とできるようになったら、もう大丈夫。お客様へも自然な配慮ができるようになるはずです。

 「お役に立ちたい」という気の配慮には、決してマニュアルなどありません。今、飼主さんが何を求めていらっしゃるのかを知ろうと思いやる心が基本なので す。そのためには、十分な専門知識も重要なアイテム。身に備えたスキルと感性を発揮して、人と動物のためになれる専門家を目指しましょう。