九州動物学院
 

アニマルセラピーってご存知ですか?マスコミを通じて、いろんな形で報道されていますので、皆さんも一度は耳にしたことがおありでしょう。
知名度のある言葉ですが、実は海外では通用しない言葉なのです。正確には「アニマル・アシステッド・セラピー(Animal・Assisted・ Therapy=AAT)」といい、一つの医療行為になります。当然、医療側スタッフがいなくてはならず、治療のどの時点で動物が参加するのかをきちんと 計画し、ボランティアの協力を得て実践します。
 対して、動物と触合うことが目的で行なわれるのが「アニマル・アシステッド・アクティビティー(Animal・Assisted・Activity=AAA)で、こちらはボランティアの自主性に任されている訪問活動です。

 これらの活動は、いわゆる動物介在活動です。動物たちの存在が、病を抱えた私たち人間を癒し、AATに至っては、病の治癒や改善に大きな影響力を持って いるということが、医学的にも証明された行為なのです。さまざまな見地に立った研究を元にしていますから、非常に奥が深く、言われている以上に難しい活動 であると理解していて下さい。

 私たち動物関係者は、動物介在活動(AAA)の方にかかわりを持っています。医者ではありませんので、医学的見地に立った治療の成果は言えませんが、見て取れる部分での効果を実感することはできます。
例えば、認知症のお年寄りが犬と触合うことがきっかけで昔の記憶を取り戻したり、無表情だった方に表情が戻ったり。ひざに乗せた犬をなでながら、昔話を始めるお年寄りの、なんとも柔和な表情に、ボランティアとして参加した私たちの方が癒されることがあるほどです。

 AAAの定義として、活動はボランティアの自発性に任されてはいますが、かといってどんな人でも、どんな動物でも参加可能なわけではありません。活動は しょうがい者や高齢者の施設慰問が中心となりますので、参加するのであればせめて、入居者の方々についての基本的な知識くらいは持っている必要がありま す。
 また連れて行く動物たちも、人に触れられることに慣れていることは必須です。何故なら、動物がリラックスした状態であればこその効果だからです。
動物は(人もペットも)リラックス状態の時、脳から「α波」が出ますが、この波動に人を癒す効果があると考えられています。とすれば、動物が緊張状態でい ては逆効果なのです。知らない場所で、知らない人たちに囲まれても、自室にいるかの如く、リラックスできることが、セラピー動物として必要な最低要件にな るのです。

 こうした活動はあくまで「人間の福祉」という考え方が基本ですが、人と動物が互いに癒し合うことこそが本来の姿であると思います。それには私たち動物の プロが、人と施設(福祉)・動物のことを正しく理解し、3者のパイプ役でいることが必要です。癒し・癒される関係は、こうした理解の上に初めて確立される ものなのです。