九州動物学院
 

ここ数ヶ月、世界経済が急速に悪化し、その影響を受け、日本も経済情勢が大きく揺らいでいます。それを受け、雇用不安が一気に広がりました。内定取り消しや雇用止め、非正規従業員の解雇など、大きな社会問題となっています。

 こうした問題は連日マスコミが大々的に取り上げていますので、皆さんも関心を持って見ていることと思います。先日も、大手不動産会社がマンション販売不 況による影響から、53名もの内定取り消しを余儀なくされ、対象となった学生に対する説明会が開かれたというニュースが流れていました。
説明会終了後の学生は口々に「納得できない」といい、一人頭100万円の保証金も「少なすぎる」と息巻いていました。中には、「こんな会社に入れと言われ てもお断りだが、就職先を斡旋するなど誠意を見せてもらいたい」と主張する学生もいて、やり場のない怒りをぶつけておりました。ところがたった一人だけは 全く違う反応で、「会社に入ってから解雇されるよりは、今の時期でよかった。僕は運がいい」と言ってのけたのです。企業の人事担当者がこのテレビを見てい たら、間違いなくこの「運がいい」と発言した学生を採用したいと思うでしょう。少なくとも私ならそう思います。

 「職人」という言葉がありますが、職人とは何でしょう。昔はその道を志す場合、まずは「でっち奉公」から始め、下積みを重ねる中で知識や技術を研鑽し、 いわゆる自他共に認める「職人」となったものです。それでこそ「腕一本で食べていく」と言うことで、その人が必要な企業(職場)から厚遇されるようになる のです。
 ところが今は、まずそのスタート地点での自分の立ち位置を確認することから始めたがる傾向があります。「給料は?お休みは?」などがそれです。でもそれ はあくまでも「自分からの視点」なのです。企業にしたら、まだ何者でもない人材を「新人」として雇用し、何某かの人材になるまで時間と給与を投資するわけ です。これが企業側からの視点で、即戦力になり得ない一時期、こうして企業に(社会に)育てて頂くわけですから、修業とはよく言ったものです。

 就職するということは、社会の一員になるということです。仕事をするということは、個人的な達成意識もさることながら、社会人としての責任も同時に抱え るということです。起業してオーナーになるのであれば別ですが、企業の一員として組みするのであれば、こうした大きな視点を持ってしかるべきです。

 百獣の王ライオンは、わが子を千尋の谷に突き落とします。そこからはい上がってきたものだけを、後の「王者」として育成する。これが野生の本能です。犬 もそう。生まれた仔犬に虚弱児がいれば、はなから育てない。弱児優先ではなく、あくまでも群れ全体を考えてそうするのです。企業も同じです。全体を考えた ら、取捨選択しなければならない時もある。これが社会です。皆さんは今、そんな社会に順応するための準備期間にいます。あせらず基礎固めをして、出陣に備 えてほしいものです。