九州動物学院
 

動物業界もずいぶん変わってきたんだなぁと思うことが、最近すごく増えました。私は幼い頃に獣医師を志しましたので、動物のことは常に最大の関心事でし た。成長する過程にはいつも動物がいましたし、その類の情報にもうるさかった。だからというわけでもないでしょうが、大きく様変わりしつつある業界の変化 には今も敏感なつもりです。

 特に変化を感じるのは、そこで働く私たちの職位です。社会的地位とでも申しましょうか。獣医師にしろ動物看護師にしろ、社会的認知度は急激にアップしたように思います。
 その昔・・私がまだ子どもだった頃の獣医師は、いわゆる「フツウのおじさん」でした。動物病院も民家の傍らにあって、ステテコ姿のおじさんがサンダル履 きで診療にあたる。そんなイメージです。動物看護師もそう。「おーい、手伝ってくれ」と奥に向かって呼べば、エプロン姿の奥さんが飛んできて診察補助をす る。そんな時代でした。
 飼主さんもそう。普段着で犬猫を抱えて「先生ちょっと診てよ」とやってくる。近所付き合いの延長のような位置に動物病院はあったように思います。

 ところがほんの数年後、急成長を始めた動物業界に押されるように、獣医師は白衣を身につけ、民家からテナント、はては独立した診療所を構えるようになり ました。そしてご近所付き合い的診療から、カルテで管理された専門医療へ。そうなれば奥様が診療補助をするわけにもいきません。そこから「動物看護職」が 職位を得始めたのです。当然エプロンからスクラブ(*注:医療関係者の制服名)、白衣へと変遷を遂げました。

そして今、また大きな変化の時代を迎えようとしています。動物先進国と言われる欧米のレベルに追いつこうと、あちこちで「改革」が起きているのです。例え ばアメリカでは、動物看護師資格はすでに国家資格です。獣医師と肩を並べた看護師たちが、誇りとプライドをもって仕事をしています。ところが日本は、昔に 比べたら職位は確立されましたが、まだまだお手伝い的な見方が大勢を占めているのが現状なのです。しかしそれでは、まだなお急成長する動物業界と共にある 獣医療の進歩の妨げになると考えられ始めたのです。

 獣医療の要は間違いなく動物看護師です。獣医師・患者(動物)・飼主の間に立ち、3者のよりよい関係作りになくてはならない存在なのです。動物看護師の 良し悪しで、その後の獣医療の質は大きく変わると言っても過言ではありません。幅広い知識と高度な技術、そして何より大切なのは、豊かなコミュニケーショ ン能力・・。どうですか?動物看護師って、すごくスペシャリストでしょう?これほどの能力を要求される職業人が、雑用係や、ましてやお手伝いさんであって いいわけがありません。究極の専門職としてあらねばならないのです。
 そのためには、正しい知識と高度な技術を身につけることはもちろんですが、専門職としてのプライドを持つことも重要です。今すでに活躍している人も、こ れから動物看護師を目指す人も、自分たちの存在が、動物看護職の社会的地位を向上させ、獣医業界発展に貢献するのだという誇りと自覚を持って成長していっ てほしいと思います。