九州動物学院
 

動物病院を受診する動物たちは、犬猫はもちろん、うさぎ・ハムスター・フェレット、鳥などです。基本は「診れる範囲の動物たち」。私が飼育した経験もないような動物たちはちょっと難しい。そんな時は、診療対象としている動物病院を紹介するなどの対応をしています。
開業以来、毎日さまざまな飼主さんと向きあってきて、あることに気付きました。それは、「犬と猫の飼主さんは性格が違う」ということです。決して正確な統計に基づいたものなどではありませんが、永年の経験から感じたことで、あまり大きく外れたことはありません。

犬の飼主さんにあまり神経質なタイプはいません。例えば、「この薬を1週間飲ませてみて、なくなったらもう一度診せて下さい」と言ったとしましょうか。来ない方が多い。後で聞いてみたら、「元気になったからもう大丈夫だと思いました」が圧倒的な答えです。
対して猫の飼主さんは、投薬期間も次回の受診も指示通り。一言一言を実に忠実に記憶なさって、なおかつそれを必ず実行します。時にはこちらがうっかりして いるようなことも記憶なさっていて指摘されることもあるほど、実に正確です。間違わないで下さいね。全ての飼主さんが該当するわけではなく、そうした傾向 があるということです。

これを単なる「性格診断」で終わらせてはいけません。診療や応対の仕方にこの診断をきちんと反映させなければなりません。
例えば重要なのが「インフォームドコンセント(注*医師が患者に診療の目的・内容を十分に説明して、患者の納得を得て治療すること。)」。いくら高度な獣 医療を提供しょうとも、患者側が納得していなければ治療の価値は下がります。そんな時、この犬猫診断は役に立つのです。犬の飼主さんにはあまりくどくど説 明をせず、「この治療方針で行きますのでお任せ下さい」ときっぱりお伝えすること。こと細かな説明が逆に負担になることもあるのです。
対して猫の飼主さんには、懇切丁寧な説明が必要で、不安はとことん解消して差し上げないといけません。

これには日頃からの観察が重要で、「この飼主さんはこんな接し方」というオリジナルマニュアルを一日も早く構築する必要があります。この臨機応変さは一つ の能力です。兼ね備えている人もまれにありますが、たいていは磨いて光るもの。犬や猫にできる限り多く触れ、飼主さんの気持ちを想像してみる。幸いここに はたくさんの飼育動物がいますので、その感覚を養うには絶好の環境です。飼主さんの気持ちに沿うには、その方の性格はもちろん生活環境、ペットに対する考 え方など、まずは受け止めることから始めて下さい。その上でアドバイスをお返しする・・このキャッチボールができてこそ、初めて信頼関係は築かれ、皆さん が日々鍛えた能力は開花するのです。