九州動物学院
 

私たちは日々、「あれがしたいな」「これがしたいな」と考えます。特に、若い皆さんです。たくさんの夢や希望を抱えていることと思います。ところが多くの 場合、実行(実現)に移せていないのも現実です。「チャンスがないから」「お金がないから」など、形にできなかった(しなかった)理由はたくさんあるで しょうが、実は思ったことができるのは、むしろ「今」しかないのです。
この先就職をして、仕事に忙しい日々を送るようになれば、正真正銘「やりたくてもできない」時期が来るのです。その頃には、当時の自分ができない理由に挙 げていた「お金やチャンス」は多かれ少なかれ、学生の頃よりは手に入りやすくなります。ところがもっとも大切な「時間」がないのです。今は、何はなくとも 自由に使える時間はあります。これもチャンスととらえ、何事にも積極的に取り組んで下さい。

皆さんは動物業界の仕事に就くために、今勉強しています。どの職種も専門職であり、やりがいもあれば当然難しさもありますが、動物看護師も例外ではありま せん。命にかかわる大変な仕事であるがゆえに奥深く、誰にでもできる仕事ではありません。専門的な能力だけでなく、人間性が問われることも多いからです。
診療の中で、例えば「熱が40度もありますね」と言えば、飼主さんは「犬の平熱は何度ですか?」と診断をした獣医師ではなく、動物看護師に尋ねます。ま た、「ここ数日間は安静にしておいて下さい」と言えば、飼主さんの「散歩くらいはいいですか?」の問いかけが受付(動物看護師)から聞こえます。診察直後 であるにも関わらず・・です。でもこれは患者さんの心理からすれば当然のこと。獣医師と飼主さんの間には目に見えない壁があるからです。その壁は「こんな こと聞いていいのかな」とか、「こんなこと聞けないな」と言う、知識を有さない飼主さんならではの心理的な壁なのです。その間をうまく取り持つのも、看護 師の重要な仕事の一つです。

また、私たち獣医師は診察から検査、入院まで、一日にたくさんの動物たちを診ますので、微細な状況の全てを把握できるわけではありません。そんな時も犬舎 掃除をしながら、食餌を与えながら、「いつもと違う」に気付き、報告をしてもらうことはとても重要なことなのです。このように獣医師と飼主さん、動物たち からなるトライアングルの中央にいて、三者を総合的に取り持ち、クッション的な役割を担うことが、動物看護師の大きな役割と言えます。細かく言えば、獣医 師の側に立ち、見えない部分を見る視点。飼主さんの心配や不安を察知し、聞きたいことを引き出すコミュニケーション力。そして、言葉を持たない動物たちの 声を聞き、心を感じ、苦痛を和らげることのできる能力と感性。これら総てがあいまって、初めてプロの仕事として評価されるのです。

こうした高度な能力は、すぐに養われるものではありません。毎日の業務の中で磨かれていくものなのですが、学生の今、できることもあるのです。それはイン ターンシップの中で、アルバイトの中で、また日々の生活の中で切磋琢磨しながらトレーニングできるのです。「動物看護師になる」という目標を忘れず、チャ レンジし続けてほしいと思います。
そして豊かな感性を身につけるため、描いた未来に近づくために、ぜひ実行してほしいことがあります。それは「今日すべきことは絶対今日する」と決意するこ とです。思い通りにならないことが多い世の中にあっても、自身の行動の決断に関しては、絶対のリーダーシップを貫いて頂きたい。私はこれが唯一の成功の秘 訣だと信じてきましたし、今もそう信じています。「これがしたい」と思った時、思った瞬間が実行の時。これこそが成功の法則であると忘れないで下さい。