九州動物学院
 

 20年ほど昔であれば、わんちゃんの平均寿命が7~8歳と言われていました。ですが、現在は15歳から20歳とペットの寿命が延びています。です ので老年性の老人病にかかるわんちゃんも増えています。どんなに健康なわんちゃんであっても年老いれば肝硬変や腎不全などで亡くなっていきます。肝臓や腎 臓の病気に関しては、仮に肝臓は半分なくなっても再生しますが、腎臓は再生せず生まれ持った持ち分でしか生きることができません。つまり生まれ持った腎臓 を少しずつ消費しながら生きていくといっても過言ではなく、高齢なわんちゃんにとって腎不全はよく起こる病気と言えます。

 

 高齢なわんちゃんの寿命を延ばすため、透析や腎臓移植などの対応は可能です。延命するためには他のわんちゃんの腎臓を移植しなければなりません。 つまり他のわんちゃんの寿命を飼っているわんちゃんのためにもらうのです。臓器提供用に利用されるわんちゃんは保健所に収容されたわんちゃんが主に対象と なります。現在、移植の際に「臓器を提供された側の飼い主さんは、提供した側のわんちゃんも一緒に飼うようにする」という取組がされています。腎不全のわ んちゃんも保健所で処分されるわんちゃんも双方助けることができます。

 

しかしながら、私はこのように延命治療をすることが必ずしも良いこととは考えていません。飼い主さん次第で考え方が違うからです。そのため飼い主さ んへのアプローチには悩みます。長生きして欲しいと考え、家族のように扱う飼い主さんもいればそうでない飼い主さんもいます。ですから私たちがすべきこと は飼い主さんが何を求めているかを聞いて考えを引き出し対応して満足して頂くことです。

 

しかし時に飼い主さんは獣医に壁を感じ、話しづらいと思われることがあります。その時に飼い主さんと獣医との相談の架け橋になるのが動物看護師です。より身近な看護師に対しては話せることもあるのです。

 

私は倫理的な観念での良し悪しは抜きとして長く生きればよいとは考えていません。短くても幸せならそれがいいのではないかと考えます。動物の地位が 高くない日本において何をすべきか考え、長命より生きている間の質をあげてあげるようみなさん努めてください。そして自分の考えを押し付けるのではなく、 飼い主さんの考えをくみ取りそして満足して頂けるよう努めていってください。