九州動物学院
 

「動 物病院の仕事は一言で言うと何でしょうか。」このようなことを仮に尋ねられても、一言で答えることなどできません。ですが、世間一般では動物病院の仕事 は、動物の病気を治すことだけだと思われています。治療も仕事の一つですが、全てではありません。例えば予防医療やしつけ・訓練の助言、ターミナルケア(終末期医療)、飼い主さんのペットロスのケアなどがあげられます。

 

予防治療にフラリア対策があります。外で飼われているわんちゃんはフラリアの予防治療を受けなければ8割から9割、 フラリアにかかります。私たちから飼い主さんに治療を促すことも大切な仕事の一つです。他にも吠えたり、人を咬んだりと問題行動を起こすわんちゃんのしつ けや訓練のきっかけをつくることも仕事です。飼い主さんとわんちゃんの良好な関係づくりはどちらにとっても大切なことです。

 

また、治療の中には病気の改善を目的としないターミナルケア(終末期医療)が あります。これはわんちゃんだけでなく飼い主さんの心の治療も含まれています。余命を伝えたのち、メンタルのケアを行い治療の継続を促します。これはわん ちゃんを最後まで看取るという意味で大切なことです。そして亡くなった際の霊園の紹介や、ペットロスにならないような対応も大切な仕事です。

 

家庭をもつ働き盛りの30代や40代 の男性もペットロスが多くなっています。妻や子どもといった家族が亡くなった際、周囲の人は「家族が亡くなって仕事が手につかなくなったのだ。」と理解を してくれます。しかし、ペットの死では認められないことが多いのです。中には「それくらいで」とバカにする人さえいるほどです。ペットを亡くした本人でさ えそう思われるのでないかと考えます。そして周りの人に打ち明けられず苦悩し、ペットの存在の大きさとのギャップからペットロスになっていくのです。です から病院が上手にフォローし、リードすることでペットロスにならないよう促していくことも大切になってきます。

 

ま た、病院で亡くなったわんちゃんについて飼い主さんは最期を知りたがります。その時の返答は飼い主さんにとって一生残るものです。返答する際に「苦しんで いました。」や、「もう少し早ければ治療できたのですが。」などは絶対に言ってはいけません。真実ではなかったとしても「安らかなに亡くなりました。」と 言ってあげることが優しさです。

 

私 たちは動物を扱う仕事をしていますが、それと同時に飼い主さんのメンタルな部分とも向き合っていかなければなりません。ですからハイレベルな人間性が求め られます。このハイレベルな人間性を養うためにはまず、家族や友人、恋人など周囲の人に対して気遣いのできることが大切です。勉強をすれば養える能力では ありません。日々の気遣いからこの人間性のレベルは上がっていくものです。ですから、みなさんにはこれから周囲の人を大切にし、将来就職する際の糧にして いって欲しいものです。